児童買春問題とは?

「児童買春」という言葉

 児童買春とは、お金や物品などの対償と引き換えに、児童に性的交渉を強要することです。(児童とは、18歳未満の子どもを指します。)

 

 現在、世界ではおよそ139万人が商業的性的搾取の被害にあっていると推測されています。そしてその中の40~50%が子どもです。つまり、約56~70万人もの子どもが児童買春の被害にあっているといえるのです。世界中で起きている問題ですが、特に発展途上国と呼ばれる一部のアジアで深刻な被害となっています。

 

 ところで、売春と買春の言葉の違いはご存知でしょうか?売春とは売る側に責任があるととらえた言葉である一方、買春とは買う側の責任を明示している言葉なのです。

 

児童買春が起こる原因とは?

これらの原因は相互に、複雑に影響し合っています。「買う人がいる」ということで特筆すべきなのは、日本人を始めとする先進国の人々が発展途上国において加害者として子どもを買う事実です。
 また「社会制度の不整備」とは、発展途上国にとどまらず児童買春に関する法制度が不十分な国も多いため、児童買春の取り締まりに困難が生じることがある、などということです。

 児童買春の被害者の中には、騙されて買春せざるを得なくなってしまった子どももいれば、自ら児童買春という道を選ぶ子どももいます。特に私たち静岡学生NGOあおいが「児童買春をなくす」と掲げた目的の指すところの「児童買春」被害者の認識は以下のものです。

社会的な弱者であるために、第三者からの強制を受け、性産業に携わる人
経済的困窮のために性産業に携わることを得ない可能性のある人たち
社会的な弱者ではないが、都会や性に対する知識が不十分である人たち

 つまり、経済的理由または第三者からの強制により、性的搾取をされ得る人たちに焦点を当てて活動していきます。

 ※私たちの行うプロジェクトは予防であり、被害にあう前の段階であるため、あらかじめ対象を分類できるものではないということを念頭に置いた認識です。

 

複雑に絡み合う問題の数々

 

■都会への不用意な憧れ
田舎の地域に暮らす子どもは、都会や先進国の豊かな暮らしに憧れを抱いていますが、充分な知識のないまま都会に出て、騙されたり、生活苦から買春の被害にあってしまうことも少なくありません。
 
■子どもも家族のために働くべき、という社会的慣習
宗教的、文化的価値観から、カンボジアでは、たとえ子どもであっても家庭や家族のために働くべき、という考えが根強く残っています。安易に出稼ぎに行った先で、買春に巻き込まれてしまう子どもも多いのです。
 
■公教育制度の不備
カンボジアには、日本と同様、九年間の義務教育期間が設けられていますが、学校や教員の数が少ないこと、親が教育の重要性を充分に認識していないことなどから、学校をドロップアウトしてしまう子どもが後を絶ちません。教育を受けられないことにより、良い職に就けなかったり、買春問題に対する知識が得られないなどの問題が生まれます。
 
■レイプ
国境付近や田舎などの地域では、治安が悪く、強姦の被害にあう子どもがたくさんいます。
 
■処女信仰
カンボジアの古くからの慣習の中に、処女信仰が挙げられます。都会などでは、弱まっている考えですが、田舎の地域では、いまだに根強く残っています。婚前交渉を持った女性は、周囲からの差別などから、普通に生活することも困難になってしまうことがあります。
 
■地域権力者の知識不足
カンボジアでは、地域のコミュニティのつながりが強く、村長やチーフなどと言われる地域権力者が大きな力を持っています。ですが、彼らが充分に児童買春や子どもの権利に対する知識を持っているとは限らず、子どもたちの安全を重視する判断を取れないこともあります。
 
■虐待
買春の被害にあっていた子どもたちの中には、虐待など家庭内の問題を抱えていた子も多く報告されています。もっとも身近な大人である両親が、子どもたちの安全を管理していない状態では、買春の被害にあう危険も増してしまいます。
 
■貧困
カンボジアは、東南アジアの中でも、経済発展の遅れている国の一つです。特に農村部の家庭の収入は低く、生活のために子どもたちが働くことは、決して珍しくはありません。しかし、子どもたちが教育を受けられないことや社会に出て働くことが、児童買春に巻き込まれる危険を増幅してしまいます。
 
■NGOなどの手が届いていない
カンボジア国内では、多くのNGO・各国機関などが、教育支援や子どもの権利・児童買春問題の啓発、子どもの保護、治安や貧困の改善のための活動を行っています。そういった支援が受けられれば、このケーススタディのページで取り扱ったような事例は起こらなかったかもしれません。